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読んだ本のこととか。できることからこつこつと

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[結城 浩] 数学ガールの秘密ノート 丸い三角関数 を読んだ  

category: 読書 tag: 結城浩 
数学ガールの秘密ノート/丸い三角関数数学ガールの秘密ノート/丸い三角関数
(2014/04/25)
結城 浩

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「僕」と三人の数学ガール(ミルカさん、テトラちゃん、ユーリ)が「三角関数」をテーマに楽しい数学トークを繰り広げます。 サイン・コサインの基本から始まって三角関数の加法定理や回転行列、リサージュ図形、円周率の求め方などなど楽しく問題に取り組んでいきます。

数学ガールシリーズはガロア理論まで読みましたが、正直なところ難しいところはやはり難しかったです。一方、こちらの秘密のノートでは高校生の頃習った三角関数がテーマになっていて基本的なところが書かれているので、無理なく読み進めることができました。

数学の教科書などを読んでると当然ですが、難しそうな名前の公式や過去に証明された高尚な定理などが自分の理解の追いつかないうちにぶわーっと展開されたりします。もちろん理解しながらきっちり読めればいいのですが、どうしても曖昧な理解のままで読み進めてしまったり、いつの間にかわからなくなってたりといったことが多々あります。まるで綱渡りをしているような感覚で読み進めなければならなくなることもしばしばです。
しかし、数学ガールの素晴らしいところは数学で当たり前のように出てくるそれらの難しそうな名前のついた公式や定理、それらは一つ一つしっかりと理解していけば決して難しいことではないんだよということを教えてくれることだと思います。自分のまだ知らない概念に初めて出会ったとき、どうやってそれを自分の理解に落とし込んでいくか、どうすればその概念の本質を見つけられるのか、そういったところを丁寧に教えてくれるのが数学ガールの魅力だと思います。

数学ガールの登場人物たちの会話に耳を傾けると、高校の頃の教科書には無味乾燥に書かれていた公式や数学記号の数々が、実は血の通った表現豊かな一つの言語なのだと気付かされます。そしてそれを学ぶことの楽しさを登場人物たちの楽しい会話とともに参加することができます。

ところで今回の物語にはリサージュ図形と呼ばれるものがでてきます。今回はそのリサージュ図形をProcessingという図形を簡単に描画してくれるプログラミング言語があるので、試しに描画してみました。
x, yを以下の式で表します。
(x, y) = (cos(nθ), sin((n + 1)θ + α))
マウス左クリックでnに1が加算され、右クリックで1が減算されます。また、αにはマウスのx座標が入ります。描画範囲内でクリックしたりマウスを左右に移動させてみてください。リサージュ図形が描画されます。

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次はαをなくして、x, yを以下の式で表して、nの値を少しずつ増やしてみました。
(x, y) = (cos(nθ), sin((n + 1)θ))
マウスクリックで描画が始まります。

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次第に織物が織られていくようで、見ていて面白いですね。数学ガールにはこういった面白いものがたくさん詰まっているので大好きです。
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[アーサー・C・クラーク] 2010年宇宙の旅 を読んだ  

category: 読書 tag: アーサー・C・クラーク 
2010年宇宙の旅〔新版〕2010年宇宙の旅〔新版〕
(2013/07/17)
アーサー C クラーク、伊藤 典夫 他

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木星軌道上に浮かぶ謎の物体<モノリス>にボーマンが接触してから10年。2010年、宇宙船アレクセイ・レオーノフ号は地球を旅立とうとしていた。10年前に遙か木星系で宇宙飛行士4人が死亡、1人が失踪した事件を調査し、遺棄された宇宙船ディスカバリー号を回収することがその任務だった。はたして真相は究明されるのか?
モノリスに触れたボーマンはいったいどうなったのか? そしてモノリスの本当の目的とは……。


設定が前作の2001年とは少し違ってるのですね。一番大きな違いはディスカバリー号とモノリスのいる場所です。前作の2001年では土星の月ヤペタスにモノリスはいたのですが、今回の2010年では木星衛星系にいます。このあたりは映画版2001年の設定を優先したという旨が冒頭の作者のノートに書かれています。なので映画を観ている方でしたら、すんなり設定を飲み込んで読めると思います。

それにしても前作であれだけ綺麗に物語は締めくくられていましたが、それでもやっぱりスターチャイルドになったボーマンのその後やモノリス(の背後にある意思)の目的、遺棄されたディスカバリー号などなど気になるところはたくさんあります。まだまだ語りつくされていない謎がたくさんあるのですが、それらについて2010年ではきっちり語ってくれます。

スターチャイルドになったボーマンは始めのうち、結構好き勝手やっているように思えます。彼の視点は時間的にも空間的にも縛られていないのであっちへ行ったりこっちへ行ったりとなかなかせわしないです。でも、ちゃんと与えられた役割をこなしているんだな、というのが後半になってわかってきます。
今回はHALの設計者であるチャンドラ博士も活躍しますし、もちろんHAL9000もまた登場してくれます。そういえばHALの妹でSAL9000というコンピュータも出てくるのですが、彼女は博士に「わたしは夢を見るでしょうか?」と印象的な名言を残します。このあたりのコンピュータとの会話はなんだか詩的でいいですね。

今回は前作の2001年とはところどころ対照的になっているように感じました。前作ではほとんどがボーマンの一人語りだったのですが、それに対して2010年では宇宙船の乗組員が10人近くいて結構賑やかに会話しながら旅をします。宇宙船や惑星などのSF的な描写はもちろんありますが、それ以上に人間描写や感情面の方がより多く描かれています。
また、前作では反乱を起こしたHALでしたが、今回は人間側も彼に出す命令に矛盾がないよう慎重にしているのでHALも協力的に任務をこなします。HALが任務をこなすシーンは前作で反乱を起こしているだけに緊張感があります。HALが命令に逡巡するところなんかは読んでいて手に汗握ります。

物語の最後でモノリス(とその背後にある意思)の真意が前作以上に掘り下げて語られます。また、なぜモノリスのいる場所が土星軌道上から木星軌道上に変更されたのかが(それがただ単に映画の設定を引き継いでいるという以上に)わかります。
それにしても前作以上に、本当に宇宙旅行をしたような気にさせてくれますね。もしかしてクラークは宇宙旅行に行ったことがあるのでは? そんなことすら感じさせるほどです。
今回も最高のオデッセイでした。
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[角野 栄子] 魔女の宅急便 を読んだ  

category: 読書 tag: 角野栄子 
魔女の宅急便 (角川文庫)魔女の宅急便 (角川文庫)
(2013/04/25)
角野 栄子

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お母さんは魔女、お父さんは普通の人、そのあいだに生まれた一人娘のキキ。今では魔法の力も弱くなり、数もめっきり少なくなってしまった魔女たちが生き残っていくために、十三歳になるとひとり立ちをするという決まりがありました。満月の夜、黒猫のジジを相棒にほうきで空に飛びたったキキは、不安と期待に胸ふくらませ、コリコという海辺の町で「魔女の宅急便」屋さんを開きます。いろいろなお届け物をしていく中でキキはたくさんの人たちに出会い、わくわく、どきどき、ときにはいらいらしながらも次第に街にとけこんでゆきます。

一つ一つが完結した短いお話になっているので、気楽に読むことができます。
難しい言葉も言い回しも使われていませんが、キキの心情がとてもよく伝わってきます。やさしい文章で語りかけてきてくれるので、終始癒されっぱなしでした。表紙のイラストも素敵です。

友達も知っている人もいない街でひとり立ちしていくなんてそうそうできることじゃありません。若干13歳の女の子ならなおさらです。キキも最初は期待に胸を膨らませていますが、やっぱり不安そうな一面も見せます。それでも少しずつ新しい街で自分の居場所を見つけていく彼女の姿にはとても勇気をもらいます。

パン屋さん夫婦や飛行クラブのトンボ、森に住んでいる画家などジブリアニメでおなじみのキャラクターたちも登場しますが、ストーリーはけっこう違っています。大きな盛り上がりや見せ場があったりするわけではありませんが、のんびりゆっくりとキキやジジ、街の人々との楽しい時間を過ごせます。

新しい街でいろんな人たちと出会い、いろんな経験をして一年経ったころ、キキは里帰りをします。そこでキキは母親にこう言います。

かあさん、あたしちょっと考えたんだけどね、魔女はね、ほうきにばかり乗って飛んでちゃいけないんじゃないかって思うのよ。そりゃ、おとどけものはいそぐから、飛ぶのはしかたがないけど……でもときどきは歩いたほうがいいんじゃないかしら。だってほら、歩くといろんな人といやでも話すことになるじゃない? おソノさんに会えたのも歩いていたからだし……あのとき悲しまぎれに飛んでたら、どうなってたかわからないもの。反対にむこうだって、魔女を近くで見れば、鼻がとんがって口がさけてるんじゃないってわかるでしょ。それにお話もできるし、おたがいわかりあえると思うの……


やっぱりお互いに面と向かって話し合うのが一番理解し合えるのでしょうね。
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[ジョージ・オーウェル] 一九八四年 を読んだ  

category: 読書 tag: ジョージ・オーウェル 
一九八四年[新訳版] (ハヤカワepi文庫)一九八四年[新訳版] (ハヤカワepi文庫)
(2009/07/18)
ジョージ・オーウェル

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「戦争は平和なり。自由は隷従なり。無知は力なり」
”ビッグ・ブラザー”率いる党が支配する全体主義的近未来。常に彼らに監視され、職場、街中、自室でさえも一挙手一投足にいたるまで精査されるプライベートの存在しない世界。真理省記録局に勤務するウィンストンはその息苦しさに密かに不満を抱いていた。しかしある日、虚構局で働く奔放な若い女性ジュリアから突然好きだと告白される。ジュリアも党に反抗意識を持ち続けており、二人は次第に恋に落ちていく。その思想も行為も反政府的な行為だということを自覚しながらも愛し合ってゆくが、その生活は長く続かなかった……。


過去は改竄され、思考は限定され、行動は精査される。
思考の範囲を拡大するためではなく縮小するために考案された”ニュースピーク”が公用語として浸透しつつあるというのはぞっとしない話です。最初の100ページほどは世界観の説明(二重思考、思考警察、二分間憎悪、テレスクリーンなど)や、ウィンストンの鬱屈とした心情描写が続いてすこし眠くなってしまいましたが、ジュリアと出会い始めてからはウィンストンも楽しげで、世界の色が変わったように物語が進んでいきます。

二人が秘密の場所で限られた時間だけしか会えないというのは、やっぱり情熱を掻き立てられるものがありますね。ビッグブラザーに反抗していると自覚しているから、この恋が長くは続かないと二人とも分かっているけど、それを覚悟した上で愛し合う。そういうシチュエーションにもぐっときます。

二人に部屋を貸してくれている古道具屋の老店主”チャリントン”という人物。最初とても優しい普通の老人なんですが、ところがその実、かなりの悪役でびっくりしました。名作には名悪役がいるものですね。

また、ウィンストンと志を同じとしているかに思えた党中枢の一員、オブライエンの二重思考ぶりにも驚嘆しました。党に絶対の忠誠を誓いながらも、裏では革命家としての活動を続ける彼は、まさに自己矛盾した存在であり、二重思考というものを見事に体現しています。そしてその両極端な行動、言動には嫌悪を通り越して超越的な存在感すら感じさせます。

ウィンストンもジュリアも、たとえ党に捕まって拷問を受けることになったとしても、その心までは支配できない、魂は不可侵の領域なのだといい、不屈の精神で覚悟を決めます。しかし、ビッグブラザーに捕らえられた後、拷問にかけられ、洗脳され、それが終わった頃には党の望むままの思考をしてしまうまでに変わり果ててしまいます。それほど拷問の内容は悲痛で肉体的にも精神的にも責められ、読んでいるのが苦痛ですらありました。

とにかくハッピーエンドにはなりえない物語ですが、しかしそこに現実感があります。読後感は決していいものではありませんが、多くの問いかけが内包され、読むたびに新しい発見のある本だと思います。

ところで「お尻ぺんぺん物語」とかはニュースピークでも表現できるのですね。どんなものかちょっと読んでみたい気もします。
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[森博嗣] フォグ・ハイダ - The Fog Hider を読んだ  

category: 読書 tag: 森博嗣 
フォグ・ハイダ - The Fog Hiderフォグ・ハイダ - The Fog Hider
(2014/04/24)
森 博嗣

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都へ向かう途中の旅路、ゼンは森の中で山賊に襲われる。
剣を交えるまでもなく、相手を「強い」と悟るゼン。
しかし、後々話を聞いてみると相手にもなにやら事情がある様子。
仇、敵討ち、濡れ衣、病人。さまざまな思惑が交差する中、それらを解決するために剣を取る。
しかし正義とは、剣とは、生とは、いったい何なのか、はたしてゼンは納得のいく答えを見つけられるのか。


ヴォイド・シェイパシリーズの第四弾ですね。
ゼンが少しずつではありますが、会話の中で相手の気持ちを汲んで話していたりして、そういうことにも慣れてきたのかなと思えます。また、自分のことだけでなく、相手のことを心配し、気にかけ、多少は面倒を見る、というのは山に篭っているときのゼンでは考えもしなかったことでしょう。少しずつ相手のいる生活にも慣れてきているのですね。

特に今回は仲間となって戦ってくれる侍が二人いて、さらに行動を共にしているのも含めると5人ほどいるので、人との触れ合いはかなり増えています。しかし、その分敵との争いごとも大きくなり、斬り合いの場面も多かったように感じました。
今回の争いは濡れ衣が原因だったり、敵討ちだったりして、どちらに正義があるというわけではなかったので、ゼンもそのあたりの「正しさ」についてもいろいろと思索を巡らせていました。

また最後の方の寺の和尚との会話ではいい感じに禅問答していました。
生きるための正義とはなにか? 生きるためなら何をしても構わないのか? いろいろな人間がいて、皆それぞれの思惑がある。その中で剣の道を進むというのはいったいどういうことなのか?

「少しくらいの濁りは、あった方がよろしい。この世にあるものは、いかなるものも、必ず無駄なものが混ざっております。なにも溶けていない水はない。なんの匂いもしない風もありません。それでも、それを綺麗な水といい、澄んだ空という。おそらくは、正しい剣、正しい刀も、そのようなものと想像いたします」


和尚さんの言葉に、ゼンもなにか得られるものがあったのでしょう。
しかし、彼は今後も強さとは何か、正義とは何か、剣とは何か、生きるとは何か、そんな答えの出ない問い(禅問答)を繰り返し、霧のような中から手探りで答えを探していくのでしょうね。
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