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[ジョージ・オーウェル] 一九八四年 を読んだ  

category: 読書 tag: ジョージ・オーウェル 
一九八四年[新訳版] (ハヤカワepi文庫)一九八四年[新訳版] (ハヤカワepi文庫)
(2009/07/18)
ジョージ・オーウェル

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「戦争は平和なり。自由は隷従なり。無知は力なり」
”ビッグ・ブラザー”率いる党が支配する全体主義的近未来。常に彼らに監視され、職場、街中、自室でさえも一挙手一投足にいたるまで精査されるプライベートの存在しない世界。真理省記録局に勤務するウィンストンはその息苦しさに密かに不満を抱いていた。しかしある日、虚構局で働く奔放な若い女性ジュリアから突然好きだと告白される。ジュリアも党に反抗意識を持ち続けており、二人は次第に恋に落ちていく。その思想も行為も反政府的な行為だということを自覚しながらも愛し合ってゆくが、その生活は長く続かなかった……。


過去は改竄され、思考は限定され、行動は精査される。
思考の範囲を拡大するためではなく縮小するために考案された”ニュースピーク”が公用語として浸透しつつあるというのはぞっとしない話です。最初の100ページほどは世界観の説明(二重思考、思考警察、二分間憎悪、テレスクリーンなど)や、ウィンストンの鬱屈とした心情描写が続いてすこし眠くなってしまいましたが、ジュリアと出会い始めてからはウィンストンも楽しげで、世界の色が変わったように物語が進んでいきます。

二人が秘密の場所で限られた時間だけしか会えないというのは、やっぱり情熱を掻き立てられるものがありますね。ビッグブラザーに反抗していると自覚しているから、この恋が長くは続かないと二人とも分かっているけど、それを覚悟した上で愛し合う。そういうシチュエーションにもぐっときます。

二人に部屋を貸してくれている古道具屋の老店主”チャリントン”という人物。最初とても優しい普通の老人なんですが、ところがその実、かなりの悪役でびっくりしました。名作には名悪役がいるものですね。

また、ウィンストンと志を同じとしているかに思えた党中枢の一員、オブライエンの二重思考ぶりにも驚嘆しました。党に絶対の忠誠を誓いながらも、裏では革命家としての活動を続ける彼は、まさに自己矛盾した存在であり、二重思考というものを見事に体現しています。そしてその両極端な行動、言動には嫌悪を通り越して超越的な存在感すら感じさせます。

ウィンストンもジュリアも、たとえ党に捕まって拷問を受けることになったとしても、その心までは支配できない、魂は不可侵の領域なのだといい、不屈の精神で覚悟を決めます。しかし、ビッグブラザーに捕らえられた後、拷問にかけられ、洗脳され、それが終わった頃には党の望むままの思考をしてしまうまでに変わり果ててしまいます。それほど拷問の内容は悲痛で肉体的にも精神的にも責められ、読んでいるのが苦痛ですらありました。

とにかくハッピーエンドにはなりえない物語ですが、しかしそこに現実感があります。読後感は決していいものではありませんが、多くの問いかけが内包され、読むたびに新しい発見のある本だと思います。

ところで「お尻ぺんぺん物語」とかはニュースピークでも表現できるのですね。どんなものかちょっと読んでみたい気もします。
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