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[九井 諒子] 竜の学校は山の上 九井諒子作品集 を読んだ  

category: 漫画 tag: 九井諒子 
竜の学校は山の上 九井諒子作品集竜の学校は山の上 九井諒子作品集
(2011/03/30)
九井 諒子

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魔王を倒し終わった後の勇者の憂鬱。
自分が何者であるか忘れてしまった冴えない青年。
馬人(ケンタウロス)は今日も休むことを知らない。
自由に飛ぶには狭すぎるこの世界。
誰かに必要とされなくても、近くで見守ってくれる人がいる。
素敵な9編の夜伽話。


9編の短編が収録された短編集です。10ページほどの短いものもあれば、50ページ前後の比較的長いものもあります。どの物語も竜や、魔物、魔王、馬人、翼の生えた女の子などファンタジーの登場人物たちが出てきますが、うまいこと現実に溶け込んでいてやけにリアルな非日常を感じさせてくれます。単純な勧善懲悪に終始するのではなく、もう少し踏み込んだ物語が多く、読み終わった後はしばし考えさせられます。

主人公にのみ視点を固定するのではなくて、他の登場人物たちの心情も描かれていてしかもその視点の切り替えがうまいです。なるほどこのキャラクターはこういうふうに考えているのか、とそれぞれ深みのあるキャラクターに魅力を感じます。

僕はとくに「現代神話」「進学天使」が好きです。
「現代神話」ではとにかく働き者の馬人(ケンタウロス)と猿人(普通の人)たちの日常が描かれています。馬人はとても働き者でたとえ会社が代休の日でも出社してしまうくらい、とにかく怠けることができない。働き者なのはありがたいのだけれど、普通の人たちからしたら彼らのように働く体力はないので、比べられると結構肩身の狭い思いをすることもしばしば。
普通の人たちから見たら馬人は働くことを楽しんでいるように見えますが、馬人の彼らは、自分たちは働くことしかできないと言います。
馬人の青年は仕事中に公園で休憩している同僚(普通の人)に「僕は猿人に生まれたかったです」と話します。

テレビ見ながらこたつでうたた寝したり
学校サボってパチンコ行ったり…
ぼーっと公園のベンチで物思いにふけってみたかった
怠けるってミキさんが思ってるよりずっと素敵なことですよ


休まずに働き続けられるってことは羨ましいことのように思えますが、ときにのんびり怠けることができるっていうのも一つの大切な能力なんでしょうね。なにごとものんびりが一番です。

「進学天使」は翼の生えている女の子と普通の男の子のお話で、日本の街並みは空を飛ぶには適していないからといって、女の子は海外留学を勧められます。それを後押しする友達もいますが、本人は同級生のある男の子のことが好きでずっと一緒にいたいと思っています。男の子のほうも最初は彼女が留学してしまうのを引き留めようとするのですが、彼女が空を飛んでいる姿を見てあることに気付かされます。
ラストの切れ味はこの短編が一番だと感じました。空を飛ぶっていうのはやっぱり憧れがあります。
この切れ味は長編にはなかなかないと思います。短編だからこそですね。

どの物語もストーリーの途中ももちろんすごく面白いのですが、最後のページ、最後の一コマを見たときの余韻が素晴らしいです。こんな素晴らしい読後の余韻を残してくれる物語が9編もあるのですから、大満足です。
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